日本高血圧協会(Japanese Association of Hypertension:JAH)は学問の進歩を一般庶民にあまねく還元するために、一般人の高血圧に関する啓発を目的として設立され、2006(平成18)年4月から活動を始めました。そして2年余りを経過しましたが、念願のNPO法人化も2008年8月に果たしました。
高血圧学の研究は20世紀末までに長足の進歩を遂げてきて、その成果を実地応用すれば、高血圧は今やほぼ完全にコントロール可能で、高血圧患者といえどもほぼ天命を全うできるようになりました。
しかし現状では高血圧はいまだに世界中でも一番多い病気で、日本人でも約4,000万人が罹患していて、しかもその大部分の人たちが高血圧の真の怖さを知らないでいます。高血圧はほとんど無症状である為に軽視されがちで、たとえ治療を受けていても降圧不十分で、140/90mmHg未満までの降圧達成率は僅かに42%に留まっています。その結果、脳卒中や心筋梗塞・腎不全などの発症が後を絶たず、結局は国民の福祉や医療経済上も重大問題になっています。
そこで進歩した学問の成果を国民に還元し、国民の福祉に寄与する専門の活動機関として、日本高血圧協会が日本高血圧学会から立ち上げられました。国際的にも学問的な情報交換の場としての学会が先にできて(国際高血圧学会:ISH,1966年)、その後に一般市民啓蒙活動部門(世界高血圧連盟:WHL,1988年)が分業化されてきた経緯があります。そのWHLに日本高血圧協会も2007年に正式加盟を果たしました。従って日本高血圧協会は国際的にはWHL、国内では生みの親である高血圧学会、などと協力しながら、国民の高血圧啓発活動を進めています。
その方法論としては、やはり市民公開講座が最も効果的と思われます。高血圧市民公開講座は実は11年前から日本高血圧学会によって学会開催地で開かれてきました。ただし、年1回、1地区だけでの講座では、全国の患者数の前には焼け石に水の状態にありました。効率を格段に高めるにはもっと頻繁に全国津々浦々で絨毯爆撃的な啓蒙活動が必要と思われます。日本高血圧協会はまさにそのために産まれた組織ですので、各県に支部を設け、全国各地に在住の高血圧の専門家の方々にもご協力をお願いして、各支部単位で少なくとも年1回以上の市民講座や、あるいは各市町村単位でも独自の1村1品運動的な方法で、啓蒙運動を展開してもらいつつあります。当面の目標は高血圧治療中の患者の降圧達成者率を少なくとも50%以上に引き上げること、そして1日も早く100%の方々が高血圧の災禍から免れる日がくることを念じています。
当協会の以上のような公共性に鑑み、組織の認定NPO法人化を目指して、とりあえずNPO法人化の手続きを進めてまいりましたが、幸い2008年8月に NPO法人日本高血圧協会 が認証されました。この改組の機会に協会の活動をいっそう強化していきたいと役員一同心を引き締めています。
皆様方のいっそうのご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。
2008年9月吉日
NPO法人 日本高血圧協会 理事長
荒川 規矩男

