■食塩の血圧上昇メカニズムと1日の食塩摂取量
私は58歳の主婦です。今高血圧の治療を受けています。先生からあなたは食塩を摂り過ぎていますとよく言われます。食塩を摂り過ぎると血圧が上がるメカニズムを教えてください。そして私の場合実際1日平均何グラムぐらいに抑えるべきでしょうか。
- 食塩を摂り過ぎるとはじめは血管の中身(血漿量)が増えるからです。食塩は浸透圧(水を引き付ける作用)が強いので、血液中に食塩が増えると、水かさを増やすのです。あたかもタイヤに空気が入り過ぎてタイヤ圧が上がるのと同じです。しかしそれだけではありません。
- しばらくすると、食塩は間接的に血管を硬くしていきます(血管抵抗の増加)。それは食塩が各種の血管収縮物質の作用を増強し、また、血管拡張物質の作用を減弱させるからです。これらは、ひいては動脈硬化を促進します。
- 誰でも本当は無塩食にすることです。食塩は生体に必須ですが、その主成分であるナトリウムは自然の食物中にわずかながら含まれています。そして生体はその乏しいナトリウムを体内でリサイクルする装置を備えています。ですから野生の動物達や、無塩人種の人達は、天然無塩食で健康に暮らしていて、高血圧は起こっていません。
- ただし無塩食は現実的ではないので、今、世界では減塩目標を1日6グラム以下としています。日本人は現在11グラムぐらい摂っていますから、現在のほぼ半分ぐらいの薄口にすればいいのです。ただし、それで十分降圧できるわけではないので、その分は更に運動や降圧薬に手伝ってもらってでも徹底的に降圧しなければなりません。
■適切な高血圧食
私は53歳の主婦です。主人が高血圧で治療を受けています。食塩は高血圧にはよくないということで、ぐっと控えめにした料理を作るようにしています。
食塩以外に高血圧食として気をつけなければならない点 をお教えください。
食塩以外に高血圧食として気をつけなければならない点 をお教えください。
減塩以外の高血圧の食事療法について要約してみます。
- 野菜や果物を積極的に摂り、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えます。野菜、果物、低脂肪乳製品などを中心にした食事で血圧の下がることが検証されています。野菜や果物にはカルシウム、カリウムやマグネシウムなど降圧効果のある電解質や食物繊維が多く含まれることが有利に働くと考えられます。さらに、コレステロールや動物性脂肪(牛肉、豚肉、バター、ラードなど)に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸に富む植物油(オリーブ油、なたね油など)や魚油・魚の摂取を多くすることが推奨されます。
- 適正な体重を維持するように摂取カロリーを調整します。適正体重の目標は体格指数 (BMI:体重(Kg)÷〔身長(m)〕2) 25未満とします。毎日体重を測定し、その増減をみて食事摂取量を調節するのもよい方法です。
- 多量のアルコール摂取は血圧を上げます。飲酒量はエタノールに換算して男性で1日20-30ml以下、女性で10-20ml以下に制限します。
- 食事療法の他に、適切な運動、禁煙などの生活習慣の修正を実行すると、降圧薬の効きもよくなります。より良い血圧コントロールを目指して、食事療法を含む生活習慣の全般的な修正に、大事なご主人がチャレンジするように励ましてください。
■高血圧と運動療法
私は48歳のサラリーマンです。最近太り気味で、血圧も上がってきました。
高血圧の治療に運動療法 があると聞いています。運動にもいろいろあります。具体的にどんな運動をすれば、どのくらい血圧は下がるのでしょうか。
高血圧の治療に運動療法 があると聞いています。運動にもいろいろあります。具体的にどんな運動をすれば、どのくらい血圧は下がるのでしょうか。
- 運動の種類としては、動的な運動(ウォーキングなど)が、静的な運動(重量挙げなど)よりお奨めです。
- 運動の強度はニコニコぺース(余りきつくなくて、1時間くらいニコニコして続けられる程度、1分間の脈拍数にして138-年令の半分)。
- 量的には、上記のような運動(例:ウォーキング)を1日最低30分くらいすれば、2~3ヶ月で血圧は上が10mmHg、下が5mmHgくらい下がります。できれば1日60分、あるいは1日1万歩を目標にして運動すれば血圧はもっと下がるでしょう。
■降圧薬の種類とその併用
私は50歳の主婦です。40歳頃から血圧が徐々に高くなり、数年前よりCa拮抗薬を内服しています。しかし、最近になって血圧は上昇気味でCa拮抗薬の量が多くなっています。雑誌の記事で、1種類の降圧薬の内服量を次々と多くするよりも別の種類の降圧薬を併用したほうがよいという記事を見ました。降圧薬にはどんな種類のものがあるか、また併用療法の利点を教えてください。
- 降圧薬療法にあたっては血圧を140/90mmHg未満まで、しっかり下げることが重要です。降圧薬は通常1種類の低用量から始めて、降圧不十分なら用量を増やしていきます。それでも降圧不十分の場合には2剤、3剤と種類の異なる降圧薬を併用していきます。降圧作用の異なる薬を組み合わせると降圧効果を増し、薬の副作用を減らすことができます。
- 降圧薬の種類には、Ca拮抗薬の他に、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、利尿薬、ベータ遮断薬などがあります。
- 併用の組み合わせ方にはCa拮抗薬+ARB(またはACE阻害薬)、Ca拮抗薬+利尿薬、ARB(またはACE阻害薬)+利尿薬の組み合わせがよく用いられています。これをはじめから1つの錠剤にした合剤も登場したので、併用を1剤で済ませることもできます。
■高血圧でしょうか
私は53歳の男で、ある会社に勤務しています。腹部肥満(88cm)があり、検診で耐糖能異常を指摘されました。私の血圧は時々測定してもらうと大体上が130台後半と下は80台後半ですが、診療所の医師は降圧薬を飲んでもう少し血圧を下げた方がよいと言います。私は高血圧ではないのになぜ降圧薬を飲まねばならないのでしょうか。またどこまで血圧を下げたらよいのでしょうか。
- 高血圧は、血圧が上が140mmHg以上、下が90mmHg以上のいずれか一方、または両方満たす場合を言います。あなたの場合、上135~139mmHg、下85~89mmHgですから正常高値レベルです。
- 問題はそれに加えて、腹部肥満と耐糖能異常を伴っていて、メタボリックシンドロームになっているので、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を発症する危険性が10年間に中等度あることです。
- こういう場合の降圧目標は130/85mmHg未満になりますが、もし本当に糖尿病が合併しているなら130/80mmHg未満まで下げなければなりません。あなたの場合、先手で糖尿病に準じた降圧目標を達成される方が賢明でしょう。
- 薬は必要ですが、その前に生活習慣の修正、特に食事療法(塩分やカロリーの制限)と適切な運動をぜひ実行する必要があります。

