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患者さんに寄り添う血圧管理 その1 「そんなことをおっしゃいますが・・・」

1. 「おっしゃることはわかるのですが」と言いたいところ・・・
「おっしゃることはわかるのですが」と言いたいところ・・・
「結構体調悪くないのですが・・・」「そんなに調子悪くないんだけど・・・」「先生の言うことはわかるのですが、そんなに具合悪くないんですよ・・・」
支えるものがたくさんある現代社会の中では、なかなか自分の具合の悪さを明確に気が付かないこともあります。例えば階段の代わりにエスカレーターであったりエレベーターであったり、また衣類も機能性の素材で寒さや暑さなどの身体の不快感を補っています。そのような中では、自らの感覚は鋭敏にならず、徐々に鈍化していくものです。自らの感覚や言葉は、その人の身体的な不具合を反映したものになっていない可能性が多いものです。
さて、病気はどこから始まっているのでしょうか。ご自身にとって、あってはならない合併症が始まったところではないはずです。血圧が上がり始めたところが高血圧の始まりなのですが、なかなか自覚的にも分かりにくいところです。
お医者さんに急に科学的な根拠を言われて、皆さんの生活を急に制限されても、皆さんの感覚的なあるいは感情的な感覚は置き去りにされて、かえって不満も不安も増えていってしまうのかもしれません。
2. 少しだけお耳をお貸しください
そんな時に「先生はいろいろ言うけれど、私まだそんな具合悪くないし・・・」と、つい主張されることは当然かもしれませんね。
「塩分控えてとか、運動してとか、毎日毎日、一所懸命仕事をやっていて、帰るのも遅くなるし、そんな全部出来るはずないじゃないですか、先生。今、大した症状無いんですよ。いろいろ脅かす人はいるんですけどねぇ・・・」
そんな言葉に対して、「確かにそうですよねぇ・・・」という、お医者さんの言葉から始まる高血圧診療もあってもよいのではないでしょうか。本当にとぼけた医療かもしれませんが、そんな医療のような気がするのですが・・・。
でも、皆さんの楽しい将来を真剣に考えて支えようとしているお医者さんのこころの底からの心配の声に、少し耳を傾けてみてくださいね。