高血圧コラム

高血圧のよもやま話

和歌山県の食文化(ミカン・醤油)と高血圧

角谷リハビリテーション病院
院長
有田 幹雄
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1. 和歌山県の食文化と高血圧

和歌山県は平野が少なく山地が多いため、昔より果樹園芸が盛んで、ミカン、柿、梅など全国一の生産量を誇っています。

また、醤油、みそなどは和歌山県で生産され、その後千葉県などへ生産が引き継がれたとされています。そこで、食文化と高血圧に関してのお話を4回ほどに分けて行いたいと思います。

和歌山県は、高血圧患者が多くみられ、心疾患死亡率も全国一などと報告されており、高血圧対策が特に大切と考え、高血圧学会とも連携して「高血圧ゼロのまち」モデルタウンを高野町、北山村などと協力して行い、高血圧予防、動脈硬化予防対策を行ってまいりました。

2. 健康と日本食の関係

健康とは一般に「1日の食事がおいしく頂ける、夜ぐっすりと眠ることができる。日常生活を普通に営むことができる」といった、心身ともに健全な状態のことと理解されています。このように、健康は、衣・食・住といった暮らしと関連しており、特に1日に3度の食事と健康は密接な関連があります。日本人の平均寿命は、昭和初期には男女ともに50歳に達していなかったのですが、2024年の簡易生命表によると男性81.09歳、女性87.13歳と、女性は世界1位、男性は世界6位、世界でも長命を維持しています。日本人の「平均寿命が世界一長い」ことから、日本人は「世界一健康」 であると考えられています。その原因の一因として日本食が関与している可能性が考えられます。

3. 日本食という食文化

食文化とは、食料の生産、獲得より、分配・流通、調理、栄養、食卓、調理場、食べる場、後片付け、廃棄、排泄に至るまで、自然科学さらに歴史、民俗、思想、宗教、法律、経済、社会、文学、美術工芸などの人間の食をめぐる一切を含む概念として考えられています。日本の食文化は日本の環境に適応したものであり、和食の特色は日本の自然の恵みである多彩な食材により支えられています。和食の食材はコメを中心とする穀類、野菜、魚介類と海藻が主で、これに味噌と醤油で調理していました。海外で和食ブームが引き起こされ、ユネスコ無形文化遺産に登録された要因は、日本食は健康によいと考えられているからです。しかし、この日本食の唯一の欠点は食塩が多いこととされています。
では、何故和歌山県に高血圧患者が多いのかについて次回に述べたいと思います。