高血圧コラム

高血圧のよもやま話

「なぜ、太ると高血圧になるのですか?」 ―メタボリックドミノと臓器の緊張、そして高血圧 その①

慶應義塾大学予防医療センター
特任教授
伊藤 裕
「なぜ、太ると高血圧になるのですか?」 ―メタボリックドミノと臓器の緊張、そして高血圧 その① イメージ画像

1. メタボリックドミノと高血圧

高血圧と言えば、塩分!とだれもが考えると思います。もちろん、塩分の摂りすぎは最も大きな高血圧の原因です。しかし、太ると血圧が上がることは、案外知らない方も多いのではないでしょうか。「わたしは、高血圧だが、糖尿病ではないので、塩分は控えるが、糖分(あるいは、‟カロリー”)は別に控えなくてもいい!」と勝手に思い込んでいる、あるいは無理やり納得させている方もいらっしゃると思います。しかしこれは大間違いです。そして、肥満が原因で高血圧になっている場合、肥満を解消しない限り、高血圧の薬を飲んでもなかなか血圧は下がりません。

わたしは、2003年に、「メタボリックドミノ」という考えを示しました。生活習慣のゆらぎ(食生活の変調、運動不足)から肥満(とくに内臓脂肪の蓄積)がおこり、これが共通の原因となり、1.血圧が上がる、2.血糖(特に食後血糖)が上がる、3.脂質異常症(中性脂肪高値、善玉コレステロールの低下)が起こる、の三つが、同じ人でほぼ同時に認められるようになって、いわゆる「メタボリックシンドローム」が引き起こされます。そして、メタボリックシンドロームは、糖尿病の家族歴(血縁に糖尿病の方がおられる場合)がある人では、早々に糖尿病になり、一方で、家族歴のない方でも、糖尿病にならないまでも、あるいは、ならないうちに、動脈硬化がどんどん進んで、あっという間に心筋梗塞や脳卒中(脳心血管病)が起こっていきます。この一連の流れを、ドミノ倒しに例えて「メタボリックドミノ」と名付けました(図1)最近では、動脈硬化に対する治療が進み、こうした脳心血管病で亡くなられる方は減ってきており、一方で、心臓そのもの、神経そのものの病である、心不全や認知症が深刻な問題となっています。また、メタボリックドミノの方では、大腸がんや膵臓がん、腎臓がんなどが起こりやすいことも明らかになっています。さらに、中年で太っている方は、高齢になってから、逆に、腸が弱って、栄養不足になって筋肉量が減り筋力が落ちるサルコペニアという状態になる可能性があります。その結果、日常生活の基本動作がままならない状態となります。これは、フレイル(虚弱)といわれ、超高齢社会の日本では、寝たきり、介護など、大きな問題を生み出しています。

それでは、なぜ、肥満になってメタボリックドミノが倒れると血圧は上がってくるのでしょうか? 次回以降、お話ししていきたいと思います。

2. 高血圧の二つのタイプと肥満(近日公開)

近日公開予定

3. 肥満と臓器の緊張(近日公開)

近日公開予定