高血圧コラム

高血圧のよもやま話

塩と血圧 第2回 「塩の力と血圧〜なぜ塩のとりすぎは血圧をあげるのか」

八田内科医院
院長
八田 告
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1. 塩との上手な付き合い方

私たちの体は塩分(ナトリウム)をとりすぎると、どうして血圧が上がってしまうのでしょうか?ナトリウムは体の中の水分を保持する力が強く、塩分を多く摂るとその分水分も体内に溜まります。すると血液の量が増え、血管の壁にかかる圧力が高まるため、高血圧の原因になります。

高血圧は「静かなる殺し屋」とも呼ばれ、自覚症状がなくても血管にダメージを与え続けます。血管の壁が硬くなると、心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中のリスクがぐっと高まります。だからこそ、日本高血圧学会が定める「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、血圧を130/80mmHg未満に保つことが目標とされているのです。

しかし、塩は私たちにとって必要なものでもあります。汗や尿と一緒に失われるナトリウムを補うことは命を守る上で不可欠。問題は、現代の食生活で知らず知らずに塩分を摂りすぎてしまっている点です。加工食品や外食、調味料に含まれる塩分量は意外と多く、気づかぬうちに過剰摂取になってしまうことも少なくありません。

そこで、このシリーズでは、ただ「塩を減らす」ことだけに注目せず、体に必要な塩と上手に付き合いながら、健康な血圧を保つ方法をお伝えしていきます。次回は、塩分の排出を助けるカリウムの効果と、「ナトカリ比」という最新の健康目安について詳しく見ていきましょう。

毎日の生活に少しずつ取り入れられる工夫で、血圧のコントロールは十分可能です。健康で楽しい食生活を一緒に目指しましょう。