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「なぜ、太ると高血圧になるのですか?」 ―メタボリックドミノと臓器の緊張、そして高血圧 その②

1. メタボリックドミノと高血圧
下記リンクをご参照ください。
「なぜ、太ると高血圧になるのですか?」 ―メタボリックドミノと臓器の緊張、そして高血圧 その①
2. 高血圧の二つのタイプと肥満
肥満になると、高血圧になる、その原理は実は非常に簡単なものです。それは、「血圧は、緊張すると上がる」という誰もが知っている原理に基づいています。実は、肥満では、体のさまざまな臓器が緊張してしまいます。
血圧は、血管の壁に掛かる圧力ですから、高血圧は、血管抵抗が上がる、つまり血管が収縮して、血液の通路が狭くなる、あるいは、血管の中を流れる血液の量が多くなるために起こります。オームの法則で、電圧が、電気抵抗と電圧で決まることと同じです。まさに、緊張すると血圧が上がるのは、前者が起こっているのですし、塩分を摂りすぎて血圧が上がるのは、後者のためです。
高血圧は、その8割がはっきりとした原因がわからない「本態性高血圧」です。後の2割は、原因がわかっている高血圧「二次性高血圧」です。代表的なものは、腎臓が悪くなって体に塩分が溜まって血圧が上がる「腎性高血圧」や、体に塩分を貯め込む作用のある、副腎から分泌されるアルドステロンというホルモンが必要以上に増えるためおこる「原発性アルドステロン症」があります。この「原発性アルドステロン症」は意外に多く、高血圧と診断される方の10~20人に1人がこの病気であるということがわかってきました。
わたしは、本態性高血圧の人でも、ある程度、その高血圧の性格を分けることができると思っています。血管が収縮することがメインで血圧が上がっているタイプ、わたしはこれを「ギュッと型」の高血圧、一方、体に塩分が溜まって、血液の量が多くなって血圧が上がるタイプ、わたしはこれを「パンパン型」の高血圧と名付けました(図2)。そして、厄介なことに、肥満の方では、体のさまざまな臓器が緊張してしまって、この両方のタイプの高血圧が同時に起こってしまいます。
肥満は、結局は「食べること」に問題があります。体が必要とする以上に、エネルギーを摂取するから起こります。運動することは代謝を上げ臓器の機能を高め、血圧を下げることにつながり、体にとって大変いいことです。認知症の最も大切な予防法です。しかし、減量についてはほとんど威力を発揮しません。過食すると、わたしたちの体の臓器たちは、とても緊張してしまうのです。その結果、血圧は上がります。
その仕組みを次回、お話ししたいと思います。
3. 肥満と臓器の緊張(近日公開)
近日公開予定