高血圧コラム

高血圧のよもやま話

味覚と高血圧 第二弾 「味オンチ」が招く「サイレント・キラー」の恐怖

山陰労災病院 循環器内科
部長
水田 栄之助
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1. 塩分の摂りすぎが引き起こす高血圧~「ピンピンコロリ」が「ネンネンコロリ」になる怖さ

「人に迷惑をかけたくない!」、「ピンピンコロリ」で最期を迎えたい――これは国民の73.3%が望む願いです。

しかし、日本の現実は、晩年に約10年間も介護を必要とする「ネンネンコロリ」が実態です。

この健康寿命を縮める主な原因は脳卒中・転倒・骨折であり、中でも塩分の摂りすぎが引き起こす高血圧が、脳卒中へとつながる深刻な連鎖を生んでいます。

高血圧は、脳卒中・心臓病の最大の原因であり、「静かな殺し屋(サイレント・キラー)」と呼ばれています。

日本では毎年約17万人が高血圧関連疾患で命を落としています。

恐ろしいのは、症状がほとんどないことです。

症状が出た時には、すでに寝たきりや死亡に至っているケースも稀ではありません。

サイレント・キラーに対抗するためには、早期発見と継続的な管理が必須であり、特に起床時(朝食前)の家庭血圧測定が非常に重要です。

2. 脱「味オンチ」でいざ減塩 決め手は「慣れ」

日本人の平均食塩摂取量(2022年)は、男性10.5g、女性9.0gと、体に必要な1日1.5gや目標とする6g未満を大きく超えています。

なぜ塩分を摂りすぎてしまうのでしょうか?

その背景にあるのが、塩味感度の低下、いわゆる「味オンチ」です。

塩味感度が鈍くなると、無意識により濃い味を求めて塩分を過剰摂取し、高血圧や心血管疾患のリスクを高めます。

 

しかし、味覚は取り戻せます。

味細胞(味蕾)は亜鉛の働きによって平均10日前後で入れ替わります。減塩食(1日6g)を1〜2週間続けると、多くの方で塩味感度が改善することが確認されています(味覚リセット)。

感度が回復すれば、少ない塩分でも十分に満足できるため、苦痛なく減塩を継続できます。

減塩は“我慢”ではなく“慣れ”から始まります。

健康寿命を延ばすために、味覚嗜好が形成される子供の頃から、家族全員で減塩に取り組むことが非常に重要です。

今日の一口が、未来のあなたの血管を守ります。