高血圧コラム

高血圧のよもやま話

「高血圧ゼロのまち」モデルタウン事業の紹介 その2

弘前大学大学院医学研究科 循環器腎臓内科学講座
教授
富田 泰史
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1. モデルタウン事業の特徴①地域の実情に応じた柔軟な工夫

日本高血圧学会「高血圧ゼロのまち」モデルタウン事業担当の弘前大学の富田泰史です。
前回は、「高血圧ゼロのまち」モデルタウン事業の概要と、全国に広がりつつある参加自治体についてご紹介しました。
今回は、各自治体で実際に行われている取り組みの一部をご紹介します。

モデルタウン事業の特徴は、学会が一律の方法を示すのではなく、地域の実情に応じた柔軟な工夫が重視されている点です。
例えば、住民健診や健康イベントで血圧測定を行い、その場で測定結果を分かりやすく説明する取り組み、家庭血圧の重要性を伝える啓発活動、減塩レシピの配布や料理教室の開催など、生活に身近な工夫が各地で行われています。

2. モデルタウン事業の特徴②世代を超えた取り組み

また、高齢者だけでなく、働き世代や子どもたちを対象とした取り組みも広がっています。
職域健診と連動した血圧チェック、ウォーキングイベントや運動教室の開催、小中学校での食育やリーフレット配布など、世代を超えて「血圧を意識するきっかけ」を育む試みが進められています。
最近では、尿中塩分や尿ナトカリ比(*注釈)測定、塩分チェッカー(塩分計)の貸し出し、野菜摂取量がわかる機器を設置し、住民自身が変化を実感できる仕組みを取り入れる自治体もみられるようになりました。

3. モデルタウン事業の共通点~無理なく続けられること

これらの活動に共通しているのは、「無理なく続けられること」を大切にしている点です。
高血圧対策は、特別なことを一時的に行うのではなく、日々の生活の中で少しずつ積み重ねていくことが重要です。
モデルタウン事業は、地域の力を生かしながら、その土台づくりを進める取り組みといえるでしょう。

日本高血圧学会は、こうした自治体の取り組みを専門的立場から支援し、成功例や工夫を全国に共有する役割を担っています。
学会で得られた最新の知見や地域の実践例は、再び各自治体へ持ち帰られ、地域の健康づくりに生かされています。
学会と自治体、住民がつながることで、高血圧対策は「暮らしの中の習慣」へと変わっていくのかもしれません。
こうした積み重ねが、「高血圧ゼロのまち」実現に向けた確かな一歩になると考えています。

4. *注釈

尿ナトカリ比とは、尿中のナトリウム(食塩)とカリウム(野菜・果物)の比率を測定し、高血圧リスクとなる過剰な塩分摂取とカリウム不足を客観的に評価する指標の一つです。尿ナトカリ比2未満が至適目標ですが、日本人の平均値未満に相当する4未満が実現可能な目標になっています。